お料理便り|2023年03月09日(木)

2023年 春のお献立より

 

吸物より「鶏と鰹節のおだし」

先付を食べて動き出したお腹の中をじんわりと温めていただくために、山間ならではの旨味を堪能していただけるように野菜や鶏肉を贅沢に使い、鰹節の旨味を足した「おだし」に、季節の野菜と生姜の香りを加えた吸物をご用意しました。

 

 

蒸物より「馬鈴薯の胡椒餡かけ」

江戸時代にオランダ船でジャカルタ港より運ばれ、日本で当時は観賞用として栽培されたという馬鈴薯。ビタミンCやカリウムが豊富で、日本人の食生活に欠かせないこの馬鈴薯を、栃木の郷土料理「しもつかれ」に使う「鬼おろし」ですりおろし、白胡麻油と共に「もっちり」となるまで炒めて蒸し焼きにしたものと、平安時代より薬や薬味として使われている胡椒をたっぷりと加えて炊いたとちぎゆめポークと共に召し上がっていただく一品をご用意しました。

 

 

揚物より「飛竜頭」

飛竜頭は戦国時代に伝わり、ポルトガル語に日本語の音を当てて感じで表記したものとされており、豆腐をすったものと野菜をあわせて揚げた精進料理として「がんもどき」の名前が馴染み深い料理です。今では身近な存在の豆腐ですが、江戸時代には農民に作ることを禁止するくらい贅沢品でした。そんな豆腐に一手間加えた飛竜頭はハレの日のごちそうだったそうです。今ではなんてことのない料理ですが、季節の野菜をいれた揚げたてアツアツは現代でも魅力的だと思います。

 

 

煮物より「とちぎ和牛のすき焼き仕立て」

鍋料理である「すき焼き」の美味しさを炊合せに仕立てた一品をご用意しました。血統の明確な黒毛和牛の子牛を丹精込めて育てた品質の高い「とちぎ和牛」の脂の美味しいサーロインと赤身肉を愉しめるもも肉の2種類を甘さを控えたすき焼きの地で優しく火を通したものに、炊いた野菜を合わせました。和辛子と共にお召し上がりください。

 

 

小菓子より「丁字のボーロ」

胃腸を温め、抗菌作用や消化促進などに用いられる「丁字(クローブ)」。少しクセのある風味がありますが、漢方薬にも使われる丁字を使った焼き菓子を食後の「おくすり」代わりとしてお召し上がりください。

新着記事一覧へ