お料理便り|2020年09月02日(水)

2020年秋のお献立より

 

吸物より「地鶏と鰹節のおだし」
前菜を食べて動き出したお腹の中を、じんわりと温めていただくために、山間ならではの旨味を堪能して頂ける野菜や鶏肉を贅沢に使い、鰹節の旨味を足した「おだし」に、季節の野菜と生姜の香りを加えた吸物をご用意しました。

 

 

 

蒸物替りより「柚子芋」
縄文後期には「稲」よりも先に日本で食べられていたという「里芋」
栃木では里芋に柚子を加えた味噌を塗り焼いた「いもぐし」が広く愛されています。栃木県北部では、田植えや稲刈りなど農作業の節目に行われる「オヒマチ」という慰労会で食べられたり、「もりなし正月」という家訓を持っている家ではお餅の代わりに食べるなど、古くから地元に根ざした食材です。この優しい味わいを、芳ばしさを加えるために酢と砂糖を煮詰めたもの(ガストリック)と醤油で炊いた豚肉に、蒸した里芋と食感のたのしいもち麦や蓮根を合わせ、ピュレ状にした里芋と味噌で調味した餡で召し上がって頂く一品に仕立てました。柚子皮の佃煮をアクセントにお召し上がりください。

 

 

 

揚物より「米粉揚げ」
野菜にとって「揚げる」という調理法は、野菜の水分が保たれたホクホク感と表面の衣のサクサク感が愉しめる素敵な調理法だと思います。瑞々しくて少しエグみのある秋野菜を、米粉を使ったグルテンのない軽い衣で揚げた米粉揚げをご用意しました。旨味のある藻塩でお召し上がりください。

   

 

秋野菜より「野菜の冷菜二種」
コクのある料理が続きますので、ここで秋の恵みである「秋野菜」をさっぱりと味わう冷菜をご用意させていただきました。しっとりと出汁を含んだ茄子に、風味の強い胡桃酢を合わせたもので、でんぷん質を洗い流して炊いた薩摩芋に、和蘭芹の苦味をあわせたお浸しなど、馴染み深い素材に焦点を当てると野菜の素晴らしさを感じるように思います。

 

 

 

煮物より「とちぎ和牛のすき焼き仕立て」
鍋料理であるすき焼きの美味しさを、炊合せに仕立てた一品をご用意しました。血統の明確な黒毛和種の子牛を丹精込めて育てた品質の高い「とちぎ和牛」を、甘さを控えたすき焼きの地で優しく火を通したものに、炊いた野菜を合わせました。肉の脂をさっぱりとさせる山葵と共にお召し上がりください。

 

 

 

小菓子より「丁字のボーロ」
古くは痛み止め等に使われ、消化促進の効果がある「丁字(グローブ)」。少しくせのある風味がありますが、漢方薬にも使われる丁字を使った焼き菓子を食後の「おくすり」代わりとしてお召し上がりください。

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