2020年春のお献立より

  

前菜より「鮭とマスカルポーネチーズの塩辛」

スモークサーモンと「ティラミス」などに使う「マスカルポーネチーズ」を合わせ、塩辛のようにじっくりと寝かせた味わい深い酒の肴に仕上げました。クラッカーと共にお召し上がりください。

  

  

吸物より「鶏と鰹節のおだし」

前菜を食べて動き出したお腹の中を、じんわり温めていただくために、山間ならではの旨味を堪能していただけるように野菜や鶏肉を贅沢に使い、鰹節の旨味を足した「おだし」に季節の野菜と生姜の香りを加えた吸物をご用意しました。

  

  

蒸物より「馬鈴薯の胡椒餡かけ」

江戸時代にオランダ船でジャカルタ港より運ばれ、日本で当時は観賞用として栽培されたという馬鈴薯。今では、日本人の食生活に欠かせないこの馬鈴薯を、白胡麻油と共に「もっちり」となるまで炒めて蒸し焼きにしたものと、平安時代より調味料として使われている胡椒をたっぷりと加えて炊いた地鶏と共に召し上がっていただく一品をご用意しました。鶏を炊いた地にとろみをつけた胡椒餡と共にお召し上がりください。

  

  

揚物より「腰果揚げ」

野菜にとって「揚げる」は野菜の水分と香りを閉じ込め、野菜の水分が保たれたホクホク感と、表面の皮のサクサク感が愉しめる素敵な調理法だと思います。瑞々しくて少しエグみのある春野菜を、豊かな栄養素や上品な香りが魅力的で和名では「勾玉の木」と呼ばれるカシューナッツを粉末して揚げ衣にしました。

  

  

春野菜より「すずしろ酢がけ」

コクのある料理が続きますので、ここで春の恵みである「春野菜」をさっぱりと味わう冷菜をご用意しました。春らしい苦味や香りのある野菜を複数合わせ、大根をベースとした瑞々しい「すずしろ酢」とお召し上がりください。馴染みの素材に別の焦点を当てると、野菜の良さを改めて感じるように思います。

  

  

煮物より「とちぎ和牛のすき焼き仕立て」

鍋料理であるすき焼きの美味しさを、炊合せに仕立てた一品をご用意しました。血統の明確な黒毛和牛の子牛を丹精込めて育てた品質の高い「とちぎ和牛」を、甘さを控えたすき焼きの地で優しく火を通したものに、炊いた野菜を合わせました。肉の脂をさっぱりとさせる山葵と共にお召し上がりください。

  

2020年03月05日(木)|お料理便り